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家賃収入によって扶養から外れることがある?

2018/1/17 更新日:2021/7/29

細田 順子(宅地建物取引士 住宅ローンアドバイザー)

賃貸併用住宅.com

◆賃貸併用住宅購入の際に気になるポイントについて解説いたします◆

賃貸併用住宅を取得して賃貸部分を人に貸すということになると、当然ですが家賃収入を得ることになります。
この家賃収入は不動産所得となりますので一定の金額を超えるのであれば確定申告が必要になります。さらに所定の金額を超えると扶養の対象から外れることもあるので注意が必要です。

扶養とは何か?

まずはこの点から説明していくことにしましょう。

扶養という言葉には「何らかの理由によって働くことができず、そして十分な財産もないために独立して生活することが難しい人を経済的に援助する」という意味があります。

一般的には、専業主婦あるいはパート勤めの奥様がサラリーマンの夫の扶養に入る、といった形で用いられる言葉です。

この扶養というものですが、通常は下記の2種類に分けられます。

税金における扶養

簡単に言うと、どなたかを扶養している場合に、その分の税金を少し軽くしようという制度のことです。

対象となるのは所得税と住民税で、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除の3種類が存在します。

たとえば、会社勤めのご主人もしくは奥様が、主婦(主夫)をしている奥様もしくはご主人を扶養しているケースでは、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の対象となります。

どちらが適用されるかは、扶養を受けられている方の所得がどれくらいあるかによって変わってきます。

また、扶養を受けられている方が奥様やご主人以外の親族のケースでは、扶養控除の対象となります。

いずれの場合も、制度適用の対象となれば、扶養している方の税金がいくらか軽減されます。

と言っても、税金が直接減らされるわけではありません。

税額を決める基準となる収入の額(所得)から一定の額が控除され、その結果、納める税金の額が減ることになるのです。

もちろん、扶養を受けている方にある程度の収入があれば、この制度の適用を受けることはできません。

制度の適用を受けるための条件は、配偶者控除及び扶養控除の場合は扶養を受けている方の所得が48万円以下、配偶者特別控除の場合は同じく133万円以下となっています。

一方、どれくらいの額が控除されるかは、扶養している人の所得額などによって決まることになっています。

社会保険における扶養

扶養を受けている方が条件を満たしていると、扶養している方が加入している社会保険(厚生年金や健康保険など)に被扶養者として入ることができます。

こうすることで、扶養を受けている方の年金や健康保険の保険料負担を減らすことができるわけです。

もちろん、こちらの制度に関しても、どんなケースでも適用を受けられるわけではありません。

適用を受けるためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。

たとえば、この先1年間の収入見込みが130万円以下であり、かつ扶養している方の年収の半分未満でなければなりません。

また、扶養を受けられる「親族」と認められる範囲も税金の場合とはやや異なっています。

家賃収入と扶養

続いて、ご主人の扶養を受けている奥様が賃貸併用住宅の家賃収入を得ているケースなど、家賃収入と扶養の関係について見ていきましょう。

家賃収入と税金における扶養

税金における扶養で控除の対象となるのは、先ほど説明したように扶養を受けている方の所得が48万円以下(配偶者控除・扶養控除のケース)もしくは133万円以下(配偶者特別控除のケース)の場合でした。

ここでのポイントは、この条件とされているのがあくまでも「所得」の額であり、「収入」の額ではない点です。

家賃収入における所得(不動産所得)とは、収入から減価償却を含む経費をマイナスしたものを言います。

したがって、たとえば賃貸併用住宅の家賃収入が奥様名義で年間60万円あったとしても、経費が12万円以上かかり、さらに奥様に他の所得がなければ、配偶者控除の適用を受けることはできるわけです。

同様に、賃貸併用住宅の家賃収入が奥様名義で年間140万円あるケースでも、経費部分が7万円以上あれば所得は133万円以下となり、奥様に他の所得がなければ配偶者特別控除の適用を受けることは可能です。

一方で、もし所得が48万円もしくは133万円をオーバーすれば、税金における扶養からは外れることになってしまいます。

家賃収入と社会保険における扶養

この場合は、「所得」ではなく「収入」が基準となります。

「収入」と言っても、保険組合などの保険者が認める経費はマイナスすることはできます。

しかし、賃貸経営の経費の中で比較的大きな割合を占めることが多い減価償却費などは、経費として認められないのが主流です。

このため、税金の場合と比べて扶養から外れてしまう可能性は大きいと言えるかもしれません。

たとえば、先ほどと同じく賃貸併用住宅の家賃収入が奥様名義で年間140万円あるケースで考えてみましょう。

この場合、経費が7万円以上あり、かつ奥様に他に収入がなければ、所得は133万円以下で配偶者特別控除の適用対象となります。

したがって、税金における扶養から外れることはないと説明しました。

ところが、保険者によって認められた経費が10万円未満であれば、収入は所定の額をオーバーすることとなり、社会保険の扶養からは外れることになってしまうのです。

最後に

扶養から外れてしまった場合、税金面では扶養をしていた方の所得控除がなくなりますので、結果的にその方の納税額が増えることになってしまいます。

また、社会保険の面では、扶養から外れた方が国民年金や国民健康保険の保険料を負担しなくてはならなくなってしまいます。

賃貸併用住宅の家賃収入を、扶養を受けている配偶者の収入とする場合には、この点に注意が必要です。

この記事を書いた人

細田 順子 / 株式会社リオ・トラスト 不動産事業部マネージャー

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